【ミッドサマー (Midsommar)】感想考察 美しく恐ろしい。ラストシーンの意味って、、?【後半ネタバレ】

美しすぎる、だけど恐ろしい。不思議な映画でした。考えさせられるものが多くある作品です。

 

【ミッドサマー】原題:Midsommar

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https://www.cinemacafe.net/article/2020/03/03/66085.html より

 

 

あらすじ

長編デビュー作「ヘレディタリー 継承」が高い評価を集めたアリ・アスター監督の第2作。不慮の事故により家族を失ったダニーは、大学で民俗学を研究する恋人や友人たち5人でスウェーデンを訪れた。彼らの目的は奥地の村で開催される「90年に一度の祝祭」への参加だった。太陽が沈むことがないその村は、美しい花々が咲き誇り、やさしい住人たちが陽気に歌い踊る、楽園としか形容できない幸福な場のように思えた。しかし、そんな幸せな雰囲気に満ちた村に不穏な空気が漂い始め、妄想やトラウマ、不安、そして恐怖により、ダニーの心は次第にかき乱されていく。ダニー役を「ファイティング・ファミリー」のフローレンス・ピューが演じるほか、「トランスフォーマー ロストエイジ」のジャック・レイナー、「パターソン」のウィリアム・ジャクソン・ハーパー、「レヴェナント 蘇えりし者」のウィル・ポールターらが顔をそろえる。

ミッドサマー : 作品情報 - 映画.com より

 

 

キャスト

ダニー・アーダーフローレンス・ピュー

アメリカの大学で学ぶ女子学生。パニック障害を抱えており、自分自身の不安や焦燥感を共有してくれる友人が少ないことに苦悩する。

クリスチャン・ヒューズ ジャック・レイナー

ダニーと同じ大学に通う大学生。院試を控えていて、論文作成の題材を模索中。ダニーを愛してはいるが、彼女の苦悩を受け止め切れず、その関係は微妙なものになりつつある。

ジョシュ ウィリアム・ジャクソン・ハーパー

ダニーと同じ大学に通うクリスチャンの友人。今回のスウェーデン旅行のほか、文化人類学でヨーロッパ各地を巡る予定。

マークウィル・ポールター

ダニーと同じ大学に通うクリスチャンの友人。学問的な事よりセックスとドラッグの事しか頭になく、仲間の中でも特に軽薄な行動が多い。

ペレヴィルヘルム・ブロングレン

ダニーたちの大学に留学しているホルガ出身の青年。仲間たちをホルガの夏至祭に誘う。

 

ミッドサマー (映画) - Wikipedia より

 

 

見どころ

息をのむような美しい映像と人間のこわさ、信仰のこわさが見どころです。一見華やかで質素で美しい村では、1秒先では何が起こるかわからないこわさ、何が目的か、何を考えているかわからないこわさに包まれます。主人公達と一緒に謎に包まれていくので、彼らの不安とリンクし、物語に没頭することができます。

 

 

 

【注意】以下ネタバレあり

 

 

ネタバレあり感想

ずっと心が緊張状態でしんどかった。

なにやら儀式で人を捧げようという雰囲気が途中から漂い始めて、いざその時がくるまでずっと体がこわばってた。

空がずっと明るいのも感覚を狂わせるのを手助けしていたと思います。

ラブストーリーだという謎の絵の気味悪さもぞっとしました。

次の瞬間には何が行われるのか、この行動には何の意味があるのか、1秒先の不安が常につきまとい心臓を締め付けながらも目が離せませんでした。

しきたりや儀式の詳細を教えてくれないペレに対して「教えてよ!!泣」って思ってました。笑

何かあるたびペレの助けを期待しますが、だいたい何もしてくれません。笑

当事者だったら気が狂いそうです。笑

まあ外部からいけにえ用に連れてきたので当然ですが、笑

一連の祭典の中で外部の人間が何人も殺されたのだけど、失踪事件として闇に葬られるだけなんだろうか。。

 

ところで本題からはそれますが、村では日が落ちない理由、これは白夜(びゃくや)によるものですね。緯度が高い地域では、夏の季節には地球の傾きと太陽の位置の関係から、一日中明るくなる時期があります。いわゆる夏至ですね。日が最も長くなる日。そのあたりでは夜は訪れません。

 

カメラワークが面白いシーンが多かったです。車を走らせるシーンで逆さ向きに取ったり。ハイになってるシーンでの画面のゆがみも面白い表現でした。


そしてダニーの心情の変化について。

特にメイクイーンを決める踊りのとき、だんだん笑顔が見えるようになってきました。

飲まされた薬の力もあってか、その瞬間は今までにない神秘的な体験に夢中で奇妙で恐ろしい謎のしきたりや文化について忘れていたのかもしれません。

観てる側としては、あぶない、あぶない、、とずっと思ってました。心を完全に開いてしまわないかが不安で。

そして踊りのなかでスウェーデン語を理解しその言葉で現地の人と会話できたとき、「あ、そっち側になってしまった。。」と思ってしまいました。

カルトに詳しい人によると、ジャーゴンという概念があるそうです。

カルト集団では、内輪だけで使われる特殊な専門用語や言い回しがあるそうです。彼らはジャーゴンを好んで使うので、外部から見れば違和感として最初に見えるそうです

逆説的に言えば、その言葉を使うようになれば信者になったということです。ここで言うジャーゴンが、この映画でのスウェーデン語で表現されていたのでしょう。

ダニーがスウェーデン語を使ったあの瞬間に、心の一部ではもう信者になっていたという考えができますね。

<<参考ブログ:「向こうで映画見るけどあなたもどう?」元カルト信者の私が『ミッドサマー』に覚えた既視感 | 文春オンラインhttps://bunshun.jp/articles/-/36616>>カルト信者経験者ならではの視点で映画について語られているので、非常に説得力があり面白かったです。是非読んでみてください。

 


あの空間における唯一の外部としての頼りたい存在は、クリスチャンだけでした。

それまでのクリスチャンの行動で不信感は少しずつ溜まっていたと思いますが、村の娘との交わりの儀式を目撃してしまい、外部の世界の全てが崩れ落ちたと思います。

そして大声で泣き、崩れ落ちるダニーのそばで女性たちが"共感"を全面に表します。

カルトにおける仲間、家族としての一体感、ペレの言葉を借りれば包まれているような安心感をああやって生み出しているのでしょう。

家族を失ったダニーにとっても、それを補う新しい家族として映ったと考えられます。
カルトの集団の中に家族の姿を見ることさえありました。

家族が儀式で死んだようなシーンもあったことから、家族もカルトの一部だと錯覚することで、彼らが生まれ変わる安心感を示唆していたのかもしれません。

最後にいけにえとしてクリスチャンを選んでしまった理由についてです。

このカルト集団に"家族"を感じ、仲間としての感情さえ芽生えていたダニーは外の人間を排除したかったのかもしれません。

これはクリスチャンへの信頼を失ってしまったダニーの決断とも考えられますが、"個"を失った"カルト集団としての意思"によるものかもしれません。現に、その場の雰囲気から、クリスチャンを選んでほしいような意思をなんとなく感じました。クリスチャンだけはくじ引き関係なく選択肢に含まれていましたし。

火を放つときも、犠牲者9人は恵への貢献であるはずなのに、クリスチャンに対しては罪人宛かのような言葉を投げかけました。

そしてダニーのほほえみで映画は終わります。

外とのつながりを排除でき、完全に"家族"を手に入れたと感じたことの喜びかもしれません。

あなたはどう思いましたか?

 

 

以下は考察とは関係ないですが、Twitterで見つけた素晴らしい絵画をどうしてもここでも紹介したくて。。!!

世界観を見事に表した美しくどこかミステリアスな作品ですね。

 

 

ミッドサマーで感じたユニークな奇妙さ、恐ろしさが気行った人は、

ミッドサマーの監督、アリアスターが作成した他の映画を観てみるのもいいかもしれませんね。

 

 

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